約30年前の話になるが、その頃、息子を連れてよく釣りに出かけていた。いつも投げ釣り仕掛けで、20cm前後のキスを狙って釣り歩いていた。そのうち、もっと大きな魚を釣ってみたくなり、黒鯛を狙って能登半島をキャンプをしながら釣り歩いた時期もあったが、何故か、一尾も釣れたことがなかった。
夏休みに2週間の休暇を取り、家族でオートキャンプをしながら北海道旅行をしたことがあったが、その時は、真剣にシャケを釣ってやろうと、綿密に下調べを行い、しっかりと準備を整えて北海道を釣り歩いたが、会えなく空振りに終わった。
15年ぐらい前だったか、一度だけ、息子と二人で釣り船を貸し切って漁に出たことがあった。しかし、その時も、20cmにも満たないカマスしか釣れず、それを大量に家に持ち帰って、かみさんに迷惑がられたことがあった。サイズが小さいので、食べ方にも困ったが、最後は、焼いた魚の身を全て解し、それをカラカラになるまでフライパンで炒って、ふりかけにして食べた。家内のアイデアだったが、それなりに旨く食べ尽くすことが出来た。
最近はというと、4年前にルアーロッドを購入して、エギングを始めようとしたことがある。しかし、人気の堤防は、いつ行っても釣り人で混雑しており、それを見るとつい気が引けて、結局、誰もいないサーフばかりを釣り場に選んでいたが、エギを投げてはみるものの、全く釣れる気配がなかった。それでも、誰もいないサーフへ通い続けて数日後、ついに、手のひらサイズのアオリイカを2杯上げる事が出来た。それはそれで、「どうだ、やったぜ!」と、ひとり満足の結果だったが、それが最後の釣行だ。
ようするに、人混みを避けて釣り場を選ぶ習性が自分にはあるらしく、必然的に広いサーフばかりを好んで釣り歩いていたが、人が少ない場所は、結局、釣れない場所でもあるということで、結果はいつも坊主。そのうち、嫌気がさして、釣りから遠ざかってしまっていた。
(去年、一昨年と、ひとり山歩きにハマっていた。)
そんなこんなで、先日釣り上げたセイゴ42cmは、人生初の快挙であり、今年一番の出来事だったが、
その翌日、同じ場所で、なんと、また釣れてしまった。
今度は、フクラギ47cmを筆頭に計2尾を釣り上げた。
この時に、ナブラというものを初めて見た。まさしく「魚が湧く」という表現がぴったりとくる光景だ。
それが、すぐ目の前の海面に近づいてきて、一時、入れ食い状態になり、その場にいた地元の常連さん達の誰もが興奮状態に。我先にと竿を出して釣り上げていた。自分は、3尾目を釣り上げたところで、仕掛けが切れて獲物ごと海に落としてしまい、そこで戦意喪失。
足早に家に戻り、インターネットで、魚の3枚おろしの手順を再確認。
前日、セイゴ42cmを釣り上げた時に、3枚おろしの手順をインターネットで詳しく調べてチャレンジしている。しかし、これくらいのサイズになると、小さなキスをさばくのとは違って、素人には、簡単な仕事ではない。まして、家にある包丁の切れ味が、更にその作業を難しくさせるのだ。
それでも、見よう見まねで、何とか2尾のフクラギを3枚におろして無事冷蔵庫へ。料理は家内がやってくれるので、自分の役目はここまで。
その晩、フクラギのお刺身と煮物を肴に一杯飲んだが、格別に旨かった。
釣りの人生観が大きく変わった5月の出来事でした。
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